講演会報告


2022/11/13「それでもふくしまっ子の保養つづけます!」蛯名宇摩さんが語る『思い』と『音色』

 

「それでもふくしまっ子の保養、つづけます!」蛯名宇摩さんが語る『思い』と『音色』

【講師】蛯名宇摩(津軽三味線奏者、「せとうち交流プロジェクト」代表)

 

 

(レポート)

「保養」を実施しているグループも少なくなってしまった今、岡山県の瀬戸内市で活動している「せとうち交流プロジェクト」は、2012年からこれまで10回、福島の家族を春休みに受け入れています。代表を務める蛯名宇摩さんは、津軽三味線のお師匠さんでもあります。私たちがコロナ禍で休止をしていた2022年春、瀬戸内では5泊6日の保養を実施しました。その勇気と実行力に背中を押される思いの私たちは、宇摩さんの話を聴く機会を持つことにしました。映像による活動の紹介と、ライブという豪華なプログラム。「コロナ騒ぎや忙しい日常に追われ、この小さな日本列島で起きた世界一恐ろしい原発の事故を私たちは『過去の出来事』『自分には関係ない話』と軽視してはいないだろうか。福島県やその近隣県では未だ放射能汚染により幼いいのちが日々脅かされているというのに・・・」と寄せてくれたメッセージには心から共感しながら、その日を心待ちにしていました。

 奄美大島にあった「共同体」で生まれ育ち、学校生活にはそぐわずに行かなくなり、父親、妹とインドを旅し、日本中を一人旅でまわり、そして津軽三味線の師匠と出会います。そうして、自分で人生の道を切り開いてきた彼女の生き方の延長上に「保養」の活動があります。

 3.11が起こってすぐ、当時住んでいた埼玉から妹や弟ともども家族ごと逃げ、その後瀬戸内に移住。さっそく始めたのが「せとうち交流プロジェクト」でした。この日は、つれあいの渡辺嶺也さんによる素晴らしい映像をみながら、2022年春の活動が報告されました。第二部は、5歳の娘のやかちゃんも太鼓や歌で共演するライブ。三味線だけでなく、尺八からトルコの楽器も駆使し、民謡を高らかに歌い上げました。

 2023年春休みには、山で5泊、海で5泊の保養を、7家族の参加(大人7人、子ども16人)で実施。食事はボランティアの手による手作り。守田敏也さんの、原発事情や食についての講演会、ヨガや整体などのボディワーク、もちろん、宇摩さんの演奏、と魅力あるプログラムがたくさんでした。

 自然に恵まれた場所で、地域の多くの人たちとネットワークを作り、協働作業を続けている「交流プロジェクト」に大きな拍手を送り、気持ちが同じくする世田谷とこれからもつながり合い、「あの日」を決して忘れずに記憶していきたいと切に思います。(星野弥生)

 

 

 


2021/11/21「いないことにしないで!」

「いないことにしないで!~福島のこどもたちの今~」

【講師】青木 美希(朝日新聞 東京本社社会部)

 

(レポート)

2019年の「地図から消される街」と題する講演会に引き続き、青木美希さんに春に出版された著書「いないことにされる私たち」をテーマに話をしていただきました。ズームでの話に耳を傾けた方は100人以上。第二部では保坂区長を交え、あじさいの会の千葉さんも参加して「私たちにできること」を考えました。

 

「原発ヒトゴトだと思っていないでしょうか。250キロが避難対象で、もちろん東京も入ります。日本は資源が少ないから原発は仕方がないと政府は再稼働を進めています。明日の自分の姿と思っていただきたいです」と話し始めた青木さん、何度も現地に足を運んで、被災者、避難者の方々から直接話を聴き、取材を続け、メディアが報道しない、オリンピックや原発再稼働の推進にかき消された福島の「今」を現在進行形で語って下さいました。どの言葉も、とても説得力をもち、私たちに「共感」と「想像力」を誘うものでした。

「強行されたオリンピックの聖火リレーを復興の象徴として浪江から始め、リレーが終わったとたんに生徒のいない浪江小学校が解体され、更地になっていました」

「十年が過ぎても避難者は7万人。20173月末以降、2万世帯の住宅提供も帰還困難区域700世帯を含めて打ち切られました。201912月には医療費打ち切りとなりました。賠償金(10万円)もらっていていいなといじめられた人たち。彼らの失ったものは、仕事、家、家族、すべてです。その中の少しでも失ったらどうなるのか、と思いをはせてほしいです」

「生活困窮に陥っている方々がいます。住宅提供の打ち切り後も都内に残った世帯は7割近く。その3割近くが世帯月収10万円未満。避難世帯では世帯収入の最多は「年収100万円未満」で21%、「200~300万未満」は21%、都内の家賃は福島の3倍。『お金がかかるので人には会わないようにしている』『図書館にしか行っていない』と言います」

「彼らは『いないことにされて』います。全国各地の市町村が、住宅提供を打ち切られた人や住民票を移した人を避難者と数えない事例が相次ぎ、市町村のホームページと県のホームページは全然違います。市町村が把握している数は3万5千人多い。浪江は20213月時点での帰還率5%で、県内の避難者は12,860人、県・政府の集計ではたった310人。12,550人はいったいどこに?長期避難者用の県営住宅に入居すると除外、住宅を自力確保すると除外、住宅提供で除外されてしまいます」

「政府は除染ではぎ取った汚染土の1400万立方メートルを処理しきれないから全国の防潮堤や土に使います。8000万ベクレルまで使えるようにしてしまいました。安全性は問題ないと、飯館では野菜作りに使われます。除染土ではなく汚染土じゃないですか?再利用を除染土と言い、汚染土の上に50㎝の砂をかけています」

 

青木さんが、最後に読んだ、

1928年生まれの佐藤紫華子さん作の「ふるさと」を私たちも心に刻みたいと思います。(星野弥生)

 

  呼んでも 叫んでも 届かない

  泣いても もがいても戻れない  

  ふるさとは 遠く 遠のいて 余りにも遠い

  近いけど 遠いふるさと 

  あのふるさとは 美し海辺

  心の底の 涙の湖にある

 

 


2020/10/10「福島の子どもたちは今…」

「福島の子どもたちは今・・・」 ーまだ終わらない放射線の影響と、私たちの課題ー

 【講師】白石 草(OurPlanet-TV)

(レポート)

 コロナ禍で人々が集まりにくい中、活動広報のため例年行って来た講演会をZoomとリアル併用、参加者49名で開催しました。

 IAEA、UNSCEAR、WHOなどの国際機関がチェルノブイリ原発事故の影響として唯一認めている小児甲状腺がん。白石さんはその福島での現状に焦点を当てて追い続けておられます。福島復興特措法に基づき、福島県では2011年から「県民健康調査」を実施。原発事故当時18歳以下だった福島県民38万人を対象に2年ごとの甲状腺エコー検査を実施し、現在5巡目です。2017、2018年以降は2次の対象者の結果を公表せず結果の全体像が見えなくなっています。通常100万人に数人程度の確率にもかかわらず、悪性疑いの公表数は246、手術してがんと確定したのは199です。

 2巡目で悪性ないし悪性疑いの判定を受けた71人の9割がA判定だったにもかかわらず、がんは2年かけて成長し、3.56㎝に育っているものもありました。甲状腺半摘出の手術後、再発も起こり、全摘の後には家族にも会えず、看護師のケアも受けられない完全隔離の厳しいアイソトープ治療しかありません。その後の検査で肺転移が認められた若い女性は、半年で大学中退を余儀なくされ、首元の手術の傷跡に悩むなど、年頃の若者には酷な体験を強いられています。地域での差別を恐れ、内緒で治療せざるをえない現実もあります。

 今、子どもたちの安全を無視する力が強く働いており、原発推進派が言っているのは、除染はしない、避難もしない、検査も止めるということ。事故が起きても何も怖くないという新しい神話が作り上げられようとしています。このような事態が進行しているのに、この2年マスメディアはまともに取り上げもせず、事実が忘れ去られようとしています。

 コロナ禍の中で私たちのリフレッシュ事業も中止が続いています。白石さんの助言もあり、運営会議では、孤立しがちな福島の方々に、こちらから連絡を取ってメッセージを届け、今必要とされていることを聞き取り、私たちができることを探りたいという声が上がり検討されています。(佐藤由美子)     


2018/3/10 聞いてみよう、話してみよう、7年たった今


2015年10月24日 放射能から子どもを守る地方自治からできること

トークセッションの様子 菅谷 昭松本市長と保坂 展人世田谷区長
トークセッションの様子 菅谷 昭松本市長と保坂 展人世田谷区長
講演会&トークセッション @昭和女子大 本部第会議場(三軒茶屋)

松本市長 菅谷 昭×世田谷区長 保坂 展人 &子ども留学理事長 植木宏

「放射能から子どもを守る地方自治からできること」

2015年10月24日土曜日 講演会は、無事大盛況の中、終わりました。

ご参加いただいた皆様、応援いただいた皆様、会場をお貸しいただいた昭和女子大学様、 キッズスペース子ども見守りの皆様、そして、ご多忙の中、講演、トークセッションにご登壇いただいた菅谷松本市長、まつもと子ども留学理事長植木さん、保坂世田谷区長に、心から厚く御礼申し上げます。また、様々な準備の中で当会をバックアップいただいた皆様に感謝いたします。講演内容の詳細は、別途、当会からもご報告申し上げます。


2014年5月18日 「福島県三春町で何が …そして今 …」~突然の災害 行政と市民の協働に学ぶ~

2014年5月18日(日)【講師】深谷茂さん 三春まちづくり公社社長・前三春町副町長 有馬秀人さん 世田谷区危機管理室 災害対策課長

■突然の災害…わたしたちはどこから情報を得て、何を信じ、どう行動すればよいのでしょうか?

■3・11大震災と原発事故直後、時々刻々と変化する厳しい状況の中、三春町では震災対策をしつつ、避難する人々を受け入れながら、放射線災害に対しても「ヨウ素剤」を住民に配布するという決断をし、実行しました。

■行政・議会・自治会など、さまざまな立場の方が力を合わせたとお聞きしています。当時の様子から現在に至るまで、日常のあり方を含め、三春町の深谷さんに語って頂きました。福祉的視点も含め、私たちのまちの防災対策、市民としてできることを学びあいました。


2014年3月1日講演会 福島の今を伝える 吉野裕之さんをお呼びして

2014年3月1日 福島の子どもたちは今 ~健やかな子どもの育ちのために~ 講演 吉野裕之さんをお呼びして

3.11以降、1児の父として、幅広く子どもたちのリフレッシュ・保養支援を続けてこられ、最前線の情報をお持ちの吉野さんに、この3年間の経過、これから何ができるか、何をすべきかを語っていただきました。


2013年6月29日講演会『福島に生きる』佐々木るりさん

講演会を記録しました動画をアップロードしております。是非、ご覧ください。

『人として、母として、そして、幼稚園教諭として』


2013年2月24日 講演会『移動教室の試み』から教育を考える。~福島っ子、新潟に行く~ 伊達市立富野小学校 宍戸校長先生

講演会を記録しました動画をアップロードしております。是非、ご覧ください。こちら

平成25年2月24日(日)13:30~16:30に開催されました伊達市立富野小学校 宍戸校長先生 講演会 「移動教室の試み」から教育を考える。~福島っ子、新潟に行く~
は、 会場いっぱいになるほどの参加者の皆様から、ところどころですすり泣き声にあふれ深く心に刻まれた講演会となりました。
『子ども達には現実を変える力がある!輝く瞳を持って欲しい。”やった!ばんざい!”この言葉。自分は役に立つ存在であり、生きる意味があるのだと実感し、自己肯定感、自己有用感が育っている子ども達の瞳には強い輝きがある。自分から人・もの・自然に働きかけ、大きな反応を体験することで、自己効力感は育つ。』

ご参加いただきましたご来場者様、伊達市富野小学校宍戸校長先生、後援いただいた世田谷区教育委員会、そして、多大なご支援をいただきました多くの皆様に、心より感謝申し上げます。 

  主催:福島の子どもたちとともに・世田谷の会

  後援:世田谷区教育委員会

講演会後、移動教室(目標)300万円募金にご協力いただきました。

御礼:移動教室実施のための(目標)300万募金

☆ 2月24日に開催しました講演会後、移動教室の募金へ皆様より多大なご寄付をお預かりいたし、主催者様へ送金をさせていただきました。下記の通り、受領のご連絡をいただきましたのでご報告します。
-記-
この度は伊達移動教室支援募金にご賛同いただきましてありがとうございます。2月26日に33,920円ご入金の確認をしております。募金は大切にお預かりさせていただきます。   移動教室支援委員会


2012年10月13日 講演会 ”希望の牧場・ふくしま”吉沢正巳さんをお招きして